紳士がいた

紳士然とした若者が歩いていたので声を掛けた。
彼は内股で歩いていた。
俺はキレた。


「おい、なんで内股だんだ」


彼は言った。


「これは趣味の一種です」


俺は頷くほかなかったので、素直に頷いた。
彼はコンビニに入っていった。
俺もそのコンビニに用事があって入った。


彼はエロ本を内股で読んでいた。
私は横から覗き込んで彼に不快感を与えようと考えた。
私は目をひんむいて凝視した。
めくられるページの紙質と動きをこの目で捉えた。


彼は不快感を示した。
彼は読んでいた雑誌を元に戻すと、内股でドロップキックをかましてきた。
私は転んだ。
盛大に転んだ。


友情が芽生えた。
一緒に肉まんを食べた。
ただ今サービス期間中につき20円引きで購入した。
食べた。


私はドロップキックを彼にかました後、
平然とダッシュしてのけた。
追いかけてきた。
私は植木鉢を彼めがけて投げた。
植木鉢は粉々になり、中に入っていた土や名の知らぬ植物が散乱した。


よく見ると、飛び散った土に毛虫がうごめいていた。
毛虫はかわいい。
あと、植木鉢と植木等は似ている。